朝。明日原瓦礫は倦怠感とともに目覚めた。
設定していたアラームは聞き逃し、予定時刻より30分も遅い起床。こんなヘマをする日はほとんどない。自覚する。発熱、している。
「はあ……」
やりたい仕事は山のようにあるが。出歩いてしまえば病原菌を撒き散らすのは当然のことだ。だったら大人しく、熱が出たことを伝えて部屋から出ないようにしなければいけない、それが最善だ。
そう考えていると、扉がノックされる。扉の向こうから聞き慣れた声がする。
「おはようございます!今日は随分遅いですよ、なにかあったんですか?瓦礫さん」
「ああ……モンタヌス。入れ」
ベッドの上から応えると、すぐに扉が開けられる。
「失礼します!………………」
髪も整えないままベッドから上体を起こす瓦礫を見て、モンタヌスは一瞬固まる。
「さ、39度4分…………」
「測るな……」
「な、なんですぐ呼んでくれないんですかっ」
「いや、今起きた。悪い」
「朝ごはんとお薬、あと氷枕、持ってきますから!ゼリーとかの方がいいですか?」
「ああ……助かる」
嵐のように慌てて去っていったと思ったら、5分もかからず戻ってくる。嵐だ。とんでもない手際の良さで氷枕を置き必要な物を置き、食事を取らせ、立ち上がろうとするとすぐさま止められる。
「ぜっったい今日は安静にしててください!お仕事は私に任せてっ、なにかあったらすぐ呼んでください!」
安静か。なら資料の整理くらいはしてもいいか。
「パソコン作業しようと思ってますよね!?私、分かるんですから!ダメです!安静っていうのは横になって寝ててって事、ですよ!?」